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夫婦なんだし

さなぬえのお泊りな話。

前回で早苗がぬえのところへ泊まりにいったから、今回は逆で。

余談ですが、私の東方作品話は大体が作品の設定を受け継いでいます。
一部例外がありますが。
「ん、うっ~ん…っと」

ベットから上半身を起こして伸びを一つ。固まった体がほぐれていく感触が気もちいい。
今日も東風谷早苗の朝が来る。
本日快晴。


まずは寝巻からいつもの巫女服に着替える。
そして洗面所へ行き、顔を洗い、髪を整え、蛇と蛙のアクセサリーを付けたら身だしなみは完了だ。

そのまま真っ直ぐ玄関にある箒を取りに行く。
いつも朝は神社の掃除から始まる。二柱が寝てる間に掃除を済ませる。
これがいつもの朝だ。
だが、今日は違った。


ガラッ


「……………え?」

いつもの調子で玄関の扉を開けて真っ先に目に入ったのは、

「え~っと……」

全長30mはあるだろうか、巨大なロボが目の前に立っていた。
夢にまで見た巨大ロボ。少し前に巨大ロボの影を見て、追っていったら単なるアドバルーンだった時のガッカリ感は記憶に新しい。

では目の前のロボはどうだろうか。
こんなに間近くで見るからには本物っぽい。
しかし、私はそこまで動じずに、乗り口を探す。後ろにあった。
そこの前に立ち、左手に制汗剤を右手にライターを用意。
それを扉に向けてゆっくり構える。
そして息を大きく吸い込み、

「早苗ファイアーーー!!!」

火炎放射発射。
奇跡の力で噴射力当社比五倍。
炎の火力はなんと十倍。

「あちちちち!!うわっ!あちっ!あちっ!」

中から飛び出したのは正体不明の妖怪―――封獣ぬえ。

「あぁぁぁぁぁぁ!!!折角の巨大ロボ(ダンボール製)がぁぁぁぁぁぁ!!!」

目の前の元巨大ロボはダンボールに姿を変え、それはもう堂々と燃え盛ってる。ちなみに火が移るなんていう心配はいらない。奇跡の力でなんとかしている。

「早苗!いきなりなにすんのよ!!」
「いえ、なんか無性に早苗ファイアーをやりたくなったので」
「死んだらどうすんのよ!?」
「平気です。奇跡の力でせいぜい8分の7死にまで抑えてます」
「それほとんど死んでる!!ていうかさっきから奇跡の力はどんだけ万能なの!?」
「奇跡の力に不可能など無いのです」
「無駄にかっこいい!!でもすごいどうでもいいことにばっか使ってない!?」
「なんなら今すぐ隕石を10発ほどぬえに落としてあげましょうか?」
「やめて!絶対8分の7じゃすまないから!!」

ギャーギャー騒ぐぬえと私。
よくよく考えたら、
山のてっぺんの神社、その目の前にダンボールを積み上げたものが燃え盛り、その根本辺りで女子二人が言い争ってる。
色々とおかしい映像だ。こりゃ鴉天狗辺り飛んでくるんじゃないか。

「何事ですか!?」
「ちょっと!どうなってるのよ!?」

付け足し。巫女も来た。
……この天狗、また博麗神社に泊まってやがったな。
まぁこの天狗が神社にいなかったとしても、山のてっぺんの神社が燃えてたら心配にもなるだろう。
……さらにそれが愛する者が住んでいる山ならなおさ「早苗!?」いや、あの、霊夢さん睨まないで。
ていうかなんで心読めるの?

「で、これはどうなってるの!?」
「あ~…え~っと……」
「えと…その……これは………」





かくかくしかじか

状況説明終了。これを考えた先人はすごいと思う。

「なんだ…心配させないでよね…」
「お騒がせしてすみません…」
「あはは……ゴメン……」
「まぁ私の家が燃えるなんてことが無くてよかったです!あそこには私の霊夢さんの写真集があるのですから」
「よし、今からあんたの家を破壊しにいく」
「そ、そんな!?待ってください!!」

飛んでいく巫女と必死に足にしがみついていく鴉天狗。
そんな二人を見送って、

「それで、今日は用でもあるんですか?こんな大規模なものを作って…」
「あ~……まぁ用があるっていえばあるけど……」

珍しい。
本当はただ単に悪戯をしにきただけかと思ったんだけど。案外言ってみるもんだ。
でも言いにくそうにしているということは、なにか大変なことでもしでかしたのか。

「その…さ……」
「はい?」
「少しの間……早苗の家に泊めてくれない……?」
「……へ?」



理由を聞けば、なんでも命蓮寺が倒壊したとか。
原因は魔理沙さんが気分転換にブレイジングスター最大火力で飛んでいたら命蓮寺に見事に突撃。幸い、怪我人は鼠が瓦礫の下敷きになっただけらしい。この前の天罰だこのやろう。ちなみに鼠は軽傷だとか。
そこで、ぬえも再建に手伝おうとしたら皆から全力で止められたらしい。正体不明の種を勝手に埋め込みそうだからだとか。「私がそんなことするわけないわよ」とか言ってるが、絶対にするだろうから怖い。
そこで、皆(主に一輪に)から「早苗のところにでも泊まりにいきなよ」と言われ、今に至るとか。あの巨大ロボはプレゼントとか言ってるが、正直有難迷惑だ。
ちなみに魔理沙さんには命蓮寺の再建を任せようとしたが、物を盗まれそうなので弁償代を少し請求されただけで終わったらしい。
なんて運がいいんだ。

「それでしたら私は構いませんが、神奈子様と諏訪子様がどうするか………」
「私はいいぞ」
「右に同じ~」

急に横から声がしたので、振り向いてみればいつのまに二柱が。

「本当!?」
「ああ、お前は早苗の妻になるらしいからな。今のうちに親睦を深めたほうがいいだろう」
「ふぇ!?神奈子様!!?」
「そうだね~。どんな子なのか見ておきたいしね~」
「諏訪子様まで!!?」
「え~っと……とりあえず、泊まっていいのね?」
「あぁ。その変わり、少し神社の仕事を手伝ってもらうが、いいか?」
「それぐらいはいいわよ。泊まるだけじゃ悪いし」
「ま、花嫁修業だと思えばいいよ」
「だ、だから諏訪子様!!話が早すぎます!!」

ああもう、私の妻やら花嫁修業やら。いつも私がそうなろうやら言ってるが、他人に言われると恥ずかしい。
私が顔を赤くする様子を見たら、満足したかのように笑いながら神社に戻っていった。

「ねぇ早苗…」
「…なんでしょう」
「あの二人って…いつもあの調子なの…?」
「えぇ…まぁ…」
「……これから大変そうだなぁ」
「……頑張ってくださいね。多分色々と絡まれると思いますから」
「だろうね……」

さて、私は朝ごはんを作らなければいけない。一人分増えたが、材料はあるだろう。
けどその前に、

「ぬえ」
「ん、なに?」
「ダンボールの後片付け。お願いしますね」
「うげ…」












「ご馳走様でした~」

午前9時。食事終了。今日はなんだかいつもより気合い入れて多めに作っちゃた
けど、まぁ全部食べたし、いっか。

「これ全部早苗が作ったの?」
「えぇ、そうですよ」
「ふ~ん……」
「……ぬえ?」
「あっ、いや、別になんでもない!!」
「…?」
「そうだ!次から私にも手伝わせて!!」
「え、えぇ…別にいいですけど…」
「ありがと!…そういえば、次はなにするの?」
「そうですね……掃除は終わりましたし、里へ信仰集め等ですね」
「信仰集めって…具体的になにすればいいの?」
「挨拶してれば平気ですよ」
「…そんなもんな「お~い、ぬえとやら~!」………」
「…早速呼ばれてますね」
「そうね……。まぁ、早苗は先に玄関前で待ってて。私、行ってくるから」
「わかりました~」

…まぁ、変なことはされないだろう。多分。

キャァァァァァァァァ!!!!!

……うん、気のせい気のせい。気のせいに決まってる。










「さ、早苗……お待たせ……」
「あ、ぬえ!………え?」

大体10分後、ぬえがでてきた。が、いつもの黒い服ではなく、

「えっと……それは……」

白と青で腋が露出してる巫女服―――つまり、私の巫女服を纏っていた。

「え~っと……呼ばれて行ってみたら急に服を脱がされて……」

なるほど。ぬえの悲鳴らしき声が聞こえたのは気のせいじゃなかったのか。

「それで、その服を無理矢理着せられた、と……」
「うん……まぁ……」
「でも何故………?」
「なに、巫女服のほうが信仰を集めやすいだろ」
「神奈子様!?」

また真後ろに神奈子様と諏訪子様が現れた。神出鬼没ですかあんたらは。

「で、でも早苗の服じゃなくたって……」
「そのほうが夫婦っぽいじゃん!ペアルックだし」
「ふ、夫婦って…諏訪子様!!」
「そ、それにペアルックだと里を歩きづらいというか…」
「まぁ、制服みたいなものだと思えばいいだろう」
「そうそう。どうせこの神社に泊まってる間はその服で過ごさせるつもりだし」
「「えぇ!?」」











というわけでペアルックで里で信仰集め中。
正直いづらい。ぬえのほうを見ればやはり同じ気持ちなのか、目が合って、互いに困ったように笑いあった。

………にしても、なんだか里のみんなの目線がこっちに集中しすぎてる気が。
いくらペアルックだとしても異常な気が。
なんだろう、勘違いかな?

そんなことを考えていたら、

「おっ、お前達は……」
「あっ、慧音さん、こんにちは」
「こんにちは。………ふむ、あの写真は本物だったのか」
「………写真?」

……なんだろう、嫌な予感しかしない。

「あれ、知らないのか?」
「なんのことよ?」
「ふむ、ならばこれを見ればわかるだろう」

そういって差し出すのは一枚の写真。
それに載っているのは………

「「……えっ!?」」
「おぉ息ピッタリ。さすが夫婦だな」

そう、そこにはペアルック状態の私とぬえ。そして、二人で並んで神社の鳥居をくぐっている姿。

それだけではない。
二人の前には巨大なケーキ(いわゆるウェディングケーキ)。
さらに上には文字が書いてあって………



『ぬえ×早苗 夫婦初めての共同作業』



「あの………これは………」
「なんだかそれを楽しそうに里にバラ撒いてるやつがいてな」
「………誰がよ?烏天狗?」
「いや、烏天狗じゃなかったな」
「では誰が……」
「誰かは知らんが、頭巾を被ってて、左手にわっからしきものを持ってて……」

誰だったか。見たことがあるようなないような……。
隣のぬえを見てみると、肩をわなわなふるわせて右手に槍らしきものを出して、

「一輪あいつ……!もしかしてこうなることを予想して……!!」

一輪……一輪……。……!

「一輪ってあの入道雲を操る……!」
「そう、そいつの仕業よ!!早苗、今すぐブッ飛ばしに行こう!!」
「え、あっ!ぬえ!」

追いかける前に慧音さんに一礼。
そして、

「その写真は捏造ですから!どうか信じないでください!!」
「わかっているよ。そんなに否定しなくても」
「ですよね!!」
「ああ、幸せになりな」
「だから違います!!ああもう!待ってくださいぬえ!!」












到着命蓮寺(再建予定地)。
まだまだ完成には時間がかかりそうだ。

「い~~ち~~り~~ん~~~~~!!!」
「ごはっ!?」

休憩していた一輪にいきなり跳び蹴りをブチ込むぬえ。
お~飛んだ飛んだ。推定77.7m。
普通なら重症だが、雲山のナイスキャッチによって蹴り以外無傷。くそっ。

「いきなり何するのよぬえ!?」

そしてもちろん抗議。

「あんたが何してんのよ!!里に変ものバラ撒いて!!」
「あぁあの写真?どうだった?」
「どうもこうもないわよ!何勝手に……その……夫婦にしてんのよ!!」

やっぱり夫婦と言うのは抵抗があるか。

「ぬえが私達によく早苗早苗言って「わー!!わー!!」
「……そのくせして本人には何も言わ「あー!!あー!!」
「あぁもう!!そんなに大きな声ださない!!」
「だ、誰のせいよ!!変なこと言い出して!!」

真っ赤になって一輪に対抗するぬえ。あれ?見てると可愛い。

「もう……少し手助けしようと思ってやったことなのに」
「限度があるわよ!!おかげで私達もうあの里に入りづらくなったんだけど!!」
「もう夫婦って開き直って入ればいいじゃない。いつも早苗早苗言「ああああ!もうあんた本気でブッ飛ばす!!」

戦闘体制に入るぬえ。
…よし、

「私も手伝います!」
「早苗!!一緒にあいつを倒そう!!」
「はい!!」
「スペルカード……」

「開海『モーゼの奇せ…!」
「正体不明『恐怖の虹色UFO襲ら…!」


「言っておくけど」

いざ、スペルカードを発動する、というときに言葉を挟まれる。

「なによ!?」
「私をブッ飛ばしたら命蓮寺再建が遠くなるわよ」
「え……」

一輪のその言葉に私達は力を使うのをやめる。

「そりゃそうでしょ。雲山は重いものを高い所に運ぶ時に必須。私が倒れたらだれが雲山を操るのよ」
「う……」

確かにそれは一理ある。
私達は一輪のその言葉に納得してしまった。不本意ながら。

「あ~~命蓮寺再建が遠退いたらムラサや姐さん達、怒るだろうな~~」
「…わ、わかったわよ!!今はブッ飛ばすのは勘弁してあげるわ!」
「そうそう。それがいいそれがいい。」
「では一輪さんも変なことするのをやめてくださいね!!」
「ん~善処するわ」
「善処とかじゃなくて、絶対よ!!」
「はいはい。それじゃ、私はそろそろ建築を手伝わなきゃいけないし、またね~~」

そう言って一輪は命蓮寺再建予定地へと戻っていく。

「……なんか腑に落ちない。」
「ですね……」












信仰集め(とはいってもほとんど集めれなかったが)から帰宅し、昼食作りの時間。
今回はぬえの要望で一緒に作ることになった。

「……案外、ぬえって料理は上手なんですね」
「案外ってなによ」
「いえ、ぬえのことですから正体不明な料理を作るかと思ったので…」
「作ろうとすればそっちも作れるけど?」
「いえ、遠慮します」

そう、ぬえは慣れた手つきで料理を進めていくのだ。
正直なところ心配していたが、無用だったらしい。

「寺での料理は交代制だからねぇ。聖とかムラサとかから教えてもらったのよ」
「そういうことですか」

それなら納得できる。

「早苗はなんでそんな料理うまいの?」
「うまいというほどでは無いですけど……外の世界にいた時によく趣味で料理していましたし、こっちの世界にきてからはほぼ毎日ですからね」
「そういえば早苗って外の世界出身だっけ?」
「はい、そうですよ」
「ふ~ん……今度、外の料理教えてよ」
「もちろんです!」

ぬえとそんな会話をしながら料理。
いつもは一人で台所に立ってたから、二人でやるのはちょっと新鮮だ。



「さて、これで」
「完成ですね」

いつもよりも全然早く完成。
さすが、一人と二人では結構違う。

「では、ぬえは料理を運んでてください。私は箸などを用意するので…」
「ん、わかったわ」











そして昼食。
神奈子様と諏訪子様がぬえの料理を一口食べるごとに首を縦に振っている。
どうしたのだろう、と思って見ていたら、

「ぬえとやら、いつでも嫁にきていいぞ」
「!?…げほっごほっ…!」
「ぬ、ぬえ!?大丈夫ですか!?」

急に神奈子様が嫁を受け入れ宣言。
ぬえが食べ物を喉に詰まらせたっぽいので背中をゆする。

「落ち着きました?」
「ええ……ありがとう……」
「いえ。それより神奈子様…急に何を……」
「早苗に合わせれる、美人、そして料理上手。もう早苗の嫁として何も言うことが無いよね~」
「待ってください。私に合わせれるってなんですか」
「気にしない気にしない。それよりぬえ、式はいつにする?」
「え~っと……」
「で、ですから!話を飛躍させすぎです!!」
「でも写真だけでは物足りないだろう」
「へ!?写真って……」
「ほら、この写真」

神奈子様が出すのはあの……例の一輪の偽装写真。

「あの……何故これを神奈子様が……?」
「早苗達が出ていってちょっとしたら頭巾を被った人が来てねぇ、これをくれたんだよ」
「それって……」

どう考えても一輪である。
もうしっかりと制裁を加えたほうがいいのではないだろうか。

「…ぬえ」
「わかってるわ。命蓮寺が完成したらね」
「はい」












昼食終了。
一輪撲殺計画は後々考えることになった。

「さて……」
「午後はなにかあるの?」
「おみくじ作りと………そういえば、少し食べ物を買い足しておかなきゃいけないですね」
「じゃあ、おみくじは私が作るわ!だから、早苗は買い出し行く?」
「いいですけど……変なものを作らないでくださいよ?」
「そんなもの作らないわよ」
「……一応、諏訪子様辺りに作り方を教えてもらってください」
「りょ~か~い」
「では、行ってきますね」












「ふぅ……」

いつも行ってる里とは違う里に到着。あっちの里には当分入らないほうがいいような気がした。

「でも……」

店がわからない。
そりゃ初めて行くところだ。わかるわけが無い。
だれか連れてったほうが良かったかもしれないが、今更遅い。後悔は先に立たず。

「ま、ブラブラしていれば店に着きますよね」

うん、大丈夫大丈夫。
なにが大丈夫かはわからないけどとにかく大丈夫。
さぁ、いざしゅつじ

「あら?」

……?
誰だ。せっかく戦場へ踏み込もうとする時に邪魔する人は。
…って、

「白蓮さん?」
「やっぱり、早苗さんね。こんなところで珍しいわ」
「ちょっといつもの里にはいりづらくなったので……」
「一輪のあの写真、ね。しょうがない子ね……」
「やっぱり白蓮さんも知ってましたか……」
「命蓮寺内でも配り歩いてたわ」「ということは全員……」
「ええ」

ぬえ、当分は命蓮寺に帰らないほうがいいかも。色々と。

「けど一輪も貴女達のことを思っての行動だから、あまり怒らないであげてね」
「もうぬえが一回蹴り飛ばしましたけど……」
「それなら、それだけで許してあげて、ね」

それでいいかしら?
と、白蓮さんに言われたら素直に頷くしかないわけで。
一輪撲殺計画、中止。

「ところで、白蓮さんは何故ここに?」
「命蓮寺のほうを手伝おうと思ったら皆に止められてねぇ、それでもやろうとしたら追い出されちゃった」

……なんだろう、このぬえとの差は。
あっちは邪魔者扱い、こっちは貴重品扱い。まるで天と地の差だ。
……ぬえは自分にも関わる大事な時にはしっかりとやるのに。多分。

「そうねぇ…。早苗さん、私と話でもしないかしら?」
「話……ですか?」
「えぇ。それとも、急ぎの用事でも?」

……買い出しはまぁ少しぐらい遅れてもいいだろう。ぬえがしっかりやっていれば。

「いえ、平気です」
「ふふ……では、少し移動しましょう」










白蓮さんに案内されて着いた場所は、小さな喫茶店。

「ここはね、私のお気に入りなの」
「そうなんですか?」
「えぇ、入ればわかると思うわ」

そういいながら扉を開けて入る。

「あぁ……」
「ふふ……」

入った瞬間、見えるのは綺麗な木造の内面。木の独特な匂いが鼻に入る。
空気もとてもおいしく、これは気に入るのもわかる。

「いらっしゃ……あら白蓮さん、こんにちは」
「こんにちは。二人分、開いてるかしら」
「かしこまりました。お好きな席へどうぞ」





「それで、話というのは……」
「あの子のこと」
「あの子というと……」
「ぬえよ」
「ぬえ?」

私、なにかぬえにやってしまったのだろうか。

「ふふ……そんな落ち込んだ顔しないで。そんな話ではないから」
「では、どういう……」
「あの子とはどう?」

どう?といわれても……

「私の……親友以上、でしょうか」
「恋人、ではなくて?」
「へっ!?」
「あの子、寺ではいつも貴女のことを話しているのよ」

知っていたかしら?
と、尋ねられる。

「どのような話なのですか?」
「今日は貴女とどこへ行っただとか、貴女のこんなところが可愛いだとか」
「は、はぁ……」

どこへ行ったかはまだしも、私が可愛いって……。
私本人には、あまり言ってこないのに。

「そうね、貴女に対してはあまり言わないのよね」
「ふぇっ!?」
「顔でわかるわ」

私、そんなにわかりやすい顔なのだろうか。

「えぇ」

いや、あの、あまり読まないでください。

「あら、ごめんなさい」

いや、だから……まぁいいか。

「ふふ……さっきの続き。貴女にはあまり言わないことだけど……あの子、あまり素直になれないのよ」
「素直に…?」
「そう。あの子のあの性格だからかしらね……他人には遠慮なく言うのに、本人の前だと恥ずかしがって言えなくなる」

先日の慧音さんとの話を思い出す。
確かに、慧音さんには大切な恋人だ、と言っていたような。
それに、一輪もそんなことを言っていた気が……

「まぁ一輪のあの行動は、そんなぬえを見かねてサポートした結果なのよ。規模がどうであれ」
「いくらなんでもでかすぎですよ…」
「けど、これでぬえも少し積極的になるかもしれないわ」
「そうでしょうか……」
「あの子次第だからあまり強くは言えないけれど、おそらくそうだと思うわ」
「……そうだといいですね」

正直、私は少しだけ、寂しかったのだ。
ぬえとはよく一緒にいるけれど、ほとんど私から言っているのだ。

「だから、あの子がどんなに貴女に何も言わなかったとしても、見捨てないであげて。裏では一番大切にしてるはずだから」
「……はい!もちろんです!」
「ふふ……それを聞いて、安心したわ。頼んだわ、未来のぬえの夫さん」
「お、夫……?」
「あら、違ったかしら?」
「その……ちょっと……」
「……貴女は逆に、自分から言うのは遠慮せずに言うけれど、他人から言われるのは恥ずかしいようね」
「えぇ……少し……」
「それも慣れなきゃ、これからやっていけないわ」
「そう…ですね!私、ぬえの夫としてがんばります!」
「ふふ……その意気よ」












「ただいま戻りました~」

帰宅。
買い物に関しては、白蓮さんに道案内してもらい、なんとか必要なものは買えた。

「お帰り早苗!」
「お帰り~」
「諏訪子様も手伝ったのですか?」
「うんまぁね~」
「ほんと、おかげで助かったわ。ほんと、ありがとう」
「これぐらいいいって!」

なんだか随分と打ち解けたようだ。

「ところで、これから夕食作り?」
「そうですね、少し遅くなってしまいましたし、もう作っちゃいましょうか」
「それじゃ、私も手伝うわ!」
「えっいいんですか?」
「いいの!私は早苗の………ほら、私がサポートしなきゃいけないんだから!」
「え、あのぬえ?今なんて……」
「いいから、さっさと作るわよ!!」
「あっ、待ってくださいぬえ!」

なるほど、確かに少しだけ積極的になったような。
赤面してすぐに今言うのを止めるけど、前よりは進歩した気がする。

隣で諏訪子様が満足そうに頷いていた。あれはなんだったのだろうか。












「そういえば、ぬえは寝るところはどうするのですか?」

夕食も終わり、お風呂も入った。
寝巻はぬえが持ってきた。恐らく一輪とかが今日の為に勝手に選んだのだろう。蛙と蛇の柄がついてる寝巻だ。

話が反れた。
後は寝るだけ、が、ふと思った疑問。

ぬえはどこで寝るのだろうか。

「ん~……特に何も言われてないわね……」
「その点なら安心!!」
「諏訪子様?安心って……」
「ちゃんと寝るところは用意してきたわ!」

……なんだろう、この予感。

「え~っと……どこですか?」
「こっちこっち!ついて来ればわかるわ!」



諏訪子様に案内された場所。
その部屋は、

「私の部屋じゃないですか!」
「でも安心、ほら!」

扉を開けると、
大きめの布団一式、枕二つ。

「あの諏訪子様?」
「これなら仲良く寝れるでしょ?」
「でも…布団が一枚だけだけど?」
「うん?そうだけど?」

諏訪子様は何が悪いのだろうか、という目で見つめてくる。

「一緒の布団に入って寝ろ、と?」
「うん」

悪びれたそぶりを全く見せずに頷く。

「あの……諏訪子様……さすがにそれは……」
「けど、もうこれしか無いよ?残りは私用と神奈子用と、残りは売ったやつしかないから」
「何売ってるのですか!?」
「だって、その布団を買うのに必要だったのよ」
「わざわざ買わなくたってよかったよ!?」
「まぁ過ぎたものは遅いし、それで寝ちゃいなよ。ということでじゃあね~」

……行ってしまった。

「……どうします?」
「……どうにもこれで寝るしか……」
「…私は違うところで寝ますよ」

そのほうが双方寝やすいだろう。
が、ぬえのほうは決まりが悪そうに、

「…い、いや……その……」
「……?どうしました?」
「ど、どうせだし………い、……一緒に……寝ない?」
「………へ?」
「ほ、ほら……ちゃんと布団で寝ないと……疲れがとれないし……」
「えぇ……それはそうですが……」
「そ、それに……私達……未来の夫婦なんだからさ……別に…変…じゃないでしょ……?」
「え……あの……」
「べ、別に!やましいことは考えてなくて……純粋に……」
「………」

ふ…夫婦……?
ぬえから言われるなんて……。

ふと、白蓮さんの言葉を思い出す。

ぬえも少し、積極的になるかもしれないわ

(ふふ……ほんとですね)


私は少し笑みを浮かべた。
ぬえは、何も言わない私に対して、拒否反応と見たのか、

「……ご、ごめん…。やっぱ……忘れて」
「……いえ、一緒に寝ましょう」
「……え?」
「私達は、未来の夫婦、なんですから」
「……そう…よね!」

二人で笑い合う。
一緒に寝るのはやっぱり恥ずかしいけど、今のうちに慣れておこう。
多分、ぬえが守矢神社に泊まる度にこうなるだろうし。

せめてぬえが帰るまで、いっぱい一緒にいよう。
私達は、夫婦なんだし。















おまけ

さて、早苗が買い出しに行ってる間、おみくじ作りをがんばっている私。
おみくじの作り方はなんかテーブルの上にあったおかげでなんとかなった。

「ふぅ……」

さすがにずっと続けていると、腕とかが疲れる。

「ん…ぅ……っと」

少し腕を組んで伸び。
こういう感触って結構気持ちいいわよね、と早苗とよく話している。

「さて……」
「おっ、がんばってるね~」

いざ、続きをやろうとした時に声がかかる。
振り向けば、奇妙な帽子を被っている神様が。

「え~っと……諏訪子様だっけ?」
「諏訪子でいいよ」
「わかったわ。どうしたの諏訪子?」
「ん~別に、ぬえががんばってるから私はその見物ってところかな」
「見物って……」

見物するなら手伝ってほしい。

「それと私と少し話でもしない?」
「話?」
「そ。少しぐらい休憩は必要でしょ」

確かに、ずっと続けていくのはきつい。
さっき小休憩をはさんだばっかだが、まぁいいだろう。

「ええ、いいわよ」
「おっ決まり!」








諏訪子に案内された場所はご飯を食べた場所。

「なんかお菓子は、と……」
「あぁ、そこまではいいわよ」
「いいからいいから。おっ、こんなものがあった」

諏訪子が取り出したのは顔ぐらいの大きさの袋。
でかでかと[ぽてとちっぷす うすしお味]と書かれている。

「それって……」
「外の世界のお菓子。結構おいしいよ」
「そんなもの、いいの?」
「いいのいいの。たまに紫のところに貰いにいったりするから」

そう言いながら袋を開けて中身を皿に移す。
とりあえず一口。

「あ……おいしい」
「でしょ?」

パリッと音とともに口に広がる塩味。このじゃがいもを揚げたのと綺麗に味が組み合っておいしい。
諏訪子は満足したように頷いて、自分も食べはじめる。

「それで、話ってなに?」
「ん~特にこれといったことはないけど……まぁ、早苗について、かな?」
「早苗について?」
「うん、ぬえも大変でしょ?あの子についていくの」
「い、いや、そんなことは……」
「あの子は思い込みが激しかったり、自分のペースで突き進んだりするからねぇ」

……まぁ、否定はできない。
早苗の最初の出会いも、私を勝手にエイリアンだと思ったり、ほぼ終始自分のペースで喋ってたなぁ、と思い返す。

「……でも、」
「ん?」
「それが、早苗の特徴でもあるんじゃない?」

早苗の思い込み。
これのおかげで、私と早苗がよく会うようになった、というか。
エイリアンと勘違いして、私に近付いた早苗。それの誤解が解けた後も、私のことを親友……果ては恋人として思っている。
そしてマイペースな行動。
私はあまり今の地上のことをあまり知らなかった。
それを、早苗の勝手な案内のおかげで、様々なところへまわれた。
早苗もここに来てまだ浅いが、それでも私よりも全然わかっている。
それに、早苗のおかげで様々な人と知り合えた。

そんな早苗に振り回されるのは悪くは無い。むしろ、最近ではそのぐらいじゃないと物足りない、と感じてきたぐらいだ。
こんな私が、ずっと一緒にいたい、と思うほどに。

「私は、正体不明がウリな鵺なのにね」

なんて、ガラにもなく自分の気持ちを素直に言ってしまったり。

「……だね」
「うん?」
「ぬえ、あなたはいい妖怪。ほんとうにいい妖怪だよ」
「え、……いや……それほどでも…」
「これからも、早苗を頼むよ。大丈夫!私達が全力でサポートするから!」
「あはは……親からこう頼まれちゃ、聞かないわけにはいかないわね」
「そのかわり、早苗を泣かしたりしたら承知しないからね」
「わかってるわ。私に任せて!」
「うん、これなら安心ね。さすが、未来の早苗の妻!」
「つ、妻って……」
「なりたいんでしょ?」
「えぇ……まぁ……」
「それなら、がんばりなさいよ!」
「……わかったわ!任せなさい!」
「うん、その意気よ!」







それから、諏訪子と早苗について話し合った。
私が早苗とどんなところへ行ったのか、と聞かれたり。
逆に、私から外の世界の早苗はどうだったのか、と聞いたり。

「お、もうこんな時間。もうすぐ早苗が帰ってくるかもね」
「あ、やば………まだ半分ぐらいしか作ってないや……」
「それなら、またおみくじ作りを再開しよう!私も手伝うから!」
「ん、ありがとう」

そして、おみくじ作りを再開。
諏訪子がいるおかげで大分効率よく進む。

「これで、」
「最後の一個、ね」
「ふぅ……疲れた」
「早苗も大変ね……いつもこんなことをしてたなんて」
「その分、ぬえがサポートしてあげなよ」
「とはいっても、命蓮寺が完成したら私、そっちに戻るから……」
「またこっちに来て手伝えばいいよ。それに、気分転換に外に連れ出すのもいい休養になるよ」
「ん、それもそうね」


ただいま戻りました~

と、そんな声が聞こえた。

「あ、早苗が戻ってきた」
「タイミングピッタリ。ありがとう、諏訪子」
「いいのいいの。さ、迎えに行こう」
「りょ~かい」
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自由人サキ

Author:自由人サキ
東方では主にさなぬえ、あやれいむ、こいマリ、ナズマリ
テイルズではユリリタ
が中心な小説を書く自由人(自称)

このブログにある小説の無断転載などはやめてください。

当サイトはリンクフリーです。
が、「リンクしました!」と言ってくださったら暴風雨の中を自転車で暴走するぐらいに歓喜します。多分。
平気です。馬鹿は風邪ひかな(殴

では、ごゆっくりと~

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